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年末になると、リトはたくさんのお菓子を作る。
それはその年お世話になった人たちに送るもので、普段よりも気合の入ったものが多い。
「ポーランド、これ味見してくれない?」
そう言ってリトはキッチンから漂う甘い匂いを纏いながらたくさんのお菓子を一人分持ってきた。
「これ、どうするん?」
差し出されたこのお菓子はオレのために作られたものじゃない。
答えをわかっていながらオレはそうきいてしまう。
「どうするって、お世話になった人に贈ろうと思って。」
そのお世話になった人って誰なん、と言いかけてやめた。どうせ「ベラルーシちゃんとかロシアさんとかアメリカさんとか…」って言うに決まっとるし。
それに食べ慣れたリトの手作りのお菓子は美味くないわけがない。
浮かない顔して食べてるのがリトにばれると気にして色々言ってくるだろうから、オレはとっておきの笑顔を見せてやらなきゃならない。
「…どう?」
「美味しいに決まっとるし!」
「ホント?良かった!」
リトはオレの言葉に満足したらしく、じゃあこれをラッピングして…とぶつぶつ言いながらキッチンへ戻っていった。
別にリトのしている事に不満があるわけじゃない。でもリトの事に関してだけは心が狭いな、とは思う。昔はこんな風に思う事もなかったのに。
料理が上手かったり誰に対しても優しいところとか、ベラを見る目が少しおかしいところとか、そういう部分も全部込みでリトを好きなんだと自分に言いきかせる。一緒にいられるだけで十分だと思うのは本心に違いないのに。
そんな不毛な事を考えながらオレはリビングのソファーでごろごろしていた。
「ポーランド」
突然名前を呼ばれて目を開けるとリトの姿が視界に入る。
「どうかしたん?」
ぶっきらぼうにオレは言ったけど、リトはそんな事気にしてない様子で「これ、ポーランドの分ね」と丁寧にラッピングされた例のお菓子を差し出してきた。
「何…今まではオレの分なんてなかったのに」
「だってポーランドは毎年味見してもらってるし、いつもオレの作ったお菓子食べてるから…って怒ってるの?」
「別に怒っとらんけど…」
ホントは嬉しかったけど、お菓子をもらわないくらい近くにいる事が特別のような気がしていたから、なんだか歯痒くてオレはきっと複雑な顔をしているに違いない。
「ポー?」
「…今食べていいん?」
「え、いいけど…」
ラッピングしたばかりなのに…とこぼすリトに気付かないふりをして、オレはソファーに座り直した。
「できたてが一番美味いやろ?」
そう言ってさっき味見したばかりのお菓子を食べ始めると、リトはお茶を淹れてくれた。
半ばやけになりながら食べているのに、向かいに座るリトはにこにこしながらオレを眺めている。
「…さっきから何見てるん?なんか恥ずかしいんやけど…」
「え…あ、ごめん。」
ポーランドが食べてるから話かけづらくて、と続けると、照れくさそうに笑った。
「…ポーランド、オレ最近よく思うんだ」
「何…?」
急に改まった態度で言うからオレも少し身構えてしまう。
「この先いろんなことがあるだろうけど…最終的にはお前と一緒にいる気がする」
そう言われて顔が熱くなるのがわかった。気恥ずかしい気持ちを隠すように「そんなん当たり前だし!」と言い放ったけれど、強がっているのはばれているだろうなと思った。
「リト」
「え、何…」
身を乗り出してリトを抱き寄せてキスをした。別に悔しくてそうしたわけじゃない。
「ポー、甘いんだけど…」
「…リトが作ったんやろ?」
「もう…」
リトはオレのこういう態度には慣れてるから、呆れてはいたけれど今更何も言うつもりはないみたいだった。
「お前の隣にいられるのはオレだけ。オレについてこれるのもお前だけ。オレは何百年も前から決めとるんよ。ずっと言っとるやろ?」
得意気にそう言って笑いかけると、オレにつられて「そうだね」とリトも苦笑した。
もしかしたらリトはオレが思ってるよりはオレの事を想ってくれているのかもしれない。
fin.
***
「リトアニアミレニアム」に投稿したもの。テーマは「年のおわり」。
タイトルの意味は「鐘」。
それはその年お世話になった人たちに送るもので、普段よりも気合の入ったものが多い。
「ポーランド、これ味見してくれない?」
そう言ってリトはキッチンから漂う甘い匂いを纏いながらたくさんのお菓子を一人分持ってきた。
「これ、どうするん?」
差し出されたこのお菓子はオレのために作られたものじゃない。
答えをわかっていながらオレはそうきいてしまう。
「どうするって、お世話になった人に贈ろうと思って。」
そのお世話になった人って誰なん、と言いかけてやめた。どうせ「ベラルーシちゃんとかロシアさんとかアメリカさんとか…」って言うに決まっとるし。
それに食べ慣れたリトの手作りのお菓子は美味くないわけがない。
浮かない顔して食べてるのがリトにばれると気にして色々言ってくるだろうから、オレはとっておきの笑顔を見せてやらなきゃならない。
「…どう?」
「美味しいに決まっとるし!」
「ホント?良かった!」
リトはオレの言葉に満足したらしく、じゃあこれをラッピングして…とぶつぶつ言いながらキッチンへ戻っていった。
別にリトのしている事に不満があるわけじゃない。でもリトの事に関してだけは心が狭いな、とは思う。昔はこんな風に思う事もなかったのに。
料理が上手かったり誰に対しても優しいところとか、ベラを見る目が少しおかしいところとか、そういう部分も全部込みでリトを好きなんだと自分に言いきかせる。一緒にいられるだけで十分だと思うのは本心に違いないのに。
そんな不毛な事を考えながらオレはリビングのソファーでごろごろしていた。
「ポーランド」
突然名前を呼ばれて目を開けるとリトの姿が視界に入る。
「どうかしたん?」
ぶっきらぼうにオレは言ったけど、リトはそんな事気にしてない様子で「これ、ポーランドの分ね」と丁寧にラッピングされた例のお菓子を差し出してきた。
「何…今まではオレの分なんてなかったのに」
「だってポーランドは毎年味見してもらってるし、いつもオレの作ったお菓子食べてるから…って怒ってるの?」
「別に怒っとらんけど…」
ホントは嬉しかったけど、お菓子をもらわないくらい近くにいる事が特別のような気がしていたから、なんだか歯痒くてオレはきっと複雑な顔をしているに違いない。
「ポー?」
「…今食べていいん?」
「え、いいけど…」
ラッピングしたばかりなのに…とこぼすリトに気付かないふりをして、オレはソファーに座り直した。
「できたてが一番美味いやろ?」
そう言ってさっき味見したばかりのお菓子を食べ始めると、リトはお茶を淹れてくれた。
半ばやけになりながら食べているのに、向かいに座るリトはにこにこしながらオレを眺めている。
「…さっきから何見てるん?なんか恥ずかしいんやけど…」
「え…あ、ごめん。」
ポーランドが食べてるから話かけづらくて、と続けると、照れくさそうに笑った。
「…ポーランド、オレ最近よく思うんだ」
「何…?」
急に改まった態度で言うからオレも少し身構えてしまう。
「この先いろんなことがあるだろうけど…最終的にはお前と一緒にいる気がする」
そう言われて顔が熱くなるのがわかった。気恥ずかしい気持ちを隠すように「そんなん当たり前だし!」と言い放ったけれど、強がっているのはばれているだろうなと思った。
「リト」
「え、何…」
身を乗り出してリトを抱き寄せてキスをした。別に悔しくてそうしたわけじゃない。
「ポー、甘いんだけど…」
「…リトが作ったんやろ?」
「もう…」
リトはオレのこういう態度には慣れてるから、呆れてはいたけれど今更何も言うつもりはないみたいだった。
「お前の隣にいられるのはオレだけ。オレについてこれるのもお前だけ。オレは何百年も前から決めとるんよ。ずっと言っとるやろ?」
得意気にそう言って笑いかけると、オレにつられて「そうだね」とリトも苦笑した。
もしかしたらリトはオレが思ってるよりはオレの事を想ってくれているのかもしれない。
fin.
***
「リトアニアミレニアム」に投稿したもの。テーマは「年のおわり」。
タイトルの意味は「鐘」。
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