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R15
  主に波立ですが、若干露立も有。
 前提としてキャラ崩壊気味で、リトがドMですので注意。



「そういえば今日ポーランドが来るみたい」
書斎に書類を持ってきていたベラルーシにロシアは唐突に告げた。

ロシアとポーランド。一般的に二人の仲が良いとはきかない。少なくともポーランドは何かにつけてロシアに文句を言ってくるから、ロシアの事を相当嫌っているはずだ、とベラルーシは思った。
「…またクレームですか?」
ベラルーシは珍しく気にかかり、尋ねた。もしそうなら一発殴るくらいのつもりで。
「ん~なんかね、僕に鞭の使い方を教えて欲しいってさ。」
「は?」
ベラルーシは意味がわからない、と怪訝そうにロシアを見る。
「きっとあれだよ、…リトアニア」
「ああ…のドMですか」
ベラルーシがロシアから視線をそらす。
「きっとポーランドも彼の扱いに困っているんだろうね。電話してきた時泣きそうだったもの。…まぁ僕に電話してくるくらいだから彼かなり追い詰められてるよね。」
そういえばロシアとそういうプレイをしていたっけ。ポーランドは女物の服を自分で着たり、リトアニアに着せたりして飾り立てて喜ぶような事はあっても暴力的な行為は行わないだろうから、おそらくリトアニアが何らかの要求をしたんだろう、とベラルーシは呆れた。
「私には解かりかねます。理解したいとも思いませんけど。」
「……そう…」

そんな会話をしているうちにポーランドがロシア宅にやって来た。
「ちょっ…ロシア!お前のせいでリトが変な性癖に目覚めとるし!!…あれ、何なん?オレさすがに今のリトを満足させられるか不安なんやけど。」
開口一番にポーランドは不平をぶつけてきた。
「別にそんな必要ないんじゃないの?君が好きにやっとけば。」
「そういう問題じゃないんよ。オレ一人が満足するとかオレが嫌やし。そんなんやってる意味ないし!」
「へえー、君ってそういう所は平等なんだね」
「…二人してそんなにあのドMを満足させるために努力する必要性があるのかしら。」
ロシアとポーランドのやりとりを聞いていたベラルーシが呟く。
「こいつの所にいたからリトがあんなんなったんだし!リトがオレに満足しないとかありえんし!!」
ロシアを指差しながらベラルーシに答えになっていない返事をする。もちろんロシアも黙ってはいない。
「そんなの…僕のせいじゃないよ。僕の所に来た時にはリトアニアはもうあんなカンジだったもの。君に原因があるんじゃないの?」
「なっ…、リトはオレと一緒に居た時は普通だったし!絶対お前のせいやし!」
「…ポーランド、僕にSな部分はあるのは認めるけどさ。でもね…僕だって彼を満足させるのは大変だったんだよ、ホント。」
ロシアが呆れながら弁明すると、ポーランドが顔色を悪くしながら尋ねた。
「…いつからなん?」
「え?」
「…いつからお前リトがあんな性癖持っとるって気付いたん?」
「そんなの…最初からだよ。」
それをきいてポーランドの顔色がさらに悪くなる。「っていうか…やっぱりお前リトとそういう関係だったん?」
「何を今更。っていうかアメリカ君の家にも出稼ぎに行ってたから彼ともそういう関係だったんじゃないの?」
しばらく黙り込んだポーランドが、何とか気持ちを持ち直して口を開いた。
「・・・まあええよ。とりあえずリトのあの性癖を直すか、それができないんやったらオレがリトを満足させられる技術を身に付けるのが現実的な問題やし。」
「君にしてはえらくまともな事言うじゃない。」
「今のリト見てたらお前の挑発にいちいち乗ってる余裕ないし。」
ポーランドはロシアの挑発を軽く受け流す。
「ふーん…じゃあどうする?早速鞭の使い方でも教授しようか?」
「ああ、頼むわ。」
そう答えると、ポーランドはふらふらとロシアに案内されるまま部屋を移動した。


その部屋は、どう見てもそういったプレイ用の部屋だった。わざわざこんな部屋を作らせたロシアもロシアだが、過去にリトアニアとこの部屋でそういった事をしたのかと思うと、ポーランドは眩暈がしそうだった。
そんなポーランドに、ロシアは自分の鞭コレクションを見せた。
「僕が常用してる鞭はこれ。こっちがリトアニアのお気に入りの一本鞭だけど、扱いが難しいから初心者はこのバラ鞭がいいと思うよ。」
それぞれの鞭の性能についてロシアは簡単に説明していく。ポーランドは眉間にしわをよせながら、柄の部分で数本の革紐が束ねられているバラ鞭を手に取った。
「痛っ!」
試しにポーランドは軽く腕に鞭打ってみて思わず声を上げた。
「打つ場所になるべく水平になるようにするといいよ。あと知ってると思うけど、一番速度が速くなるのが鞭の先端だから、そこを目標の場所に当てる事を意識してね。」
ロシアは要点をおさえて話しを続ける。
「…こんなんがいいん?」
「え?」
「リトはホントにこんなんで打たれるのが気持ちいいん?」
ポーランドは胡乱な目つきでロシアを見上げる。
「さあ?僕にもわからないよ。でもそうして欲しいって懇願されたら…ねぇ?」
君だってリトアニアの要求に答えたくてここに来ているんでしょ?と含ませてロシアは笑う。その要求に答えられていた自分の方が上だと言わんばかりに。
「……オレにはわからん。」
絶対痛いし、こんなん。でもリトが望む事にオレが応えられんとかありえんし。っていうかリトの事やっぱり何も知らんかったんかな…。
ポーランドはなんだか泣きたくなった。


突然、コンコン、とポーランドたちのいる部屋のドアをノックする音がした。ロシアが返事をすると現れたのはベラルーシだった。
「兄さん、電話です。ドMから。」
ポーランドたちがいる部屋には内線が繋がっていないのでわざわざ来たようだ。ベラルーシはロシアに電話の子機を渡す。
ロシアは鞭を置いて子機を受け取った。
「もしもし、リトアニア?」
「あの、ロシアさん…ポー、ポーランドがそちらに来てませんか?」
「来てるよ。」
「す、すみませんっ!!すぐ引き取りに行きます!今向かっていますので!」
ああ、ゆっくり来なよ、と言ってロシアは話を終えた。
ロシアから子機を受け取ると、ベラルーシは鬱陶しそうな目でポーランドを睨んで退室した。
「リトアニアが今から来るって言ってたよ。君何も言わないで来たの?」
「リトにいちいち言う事じゃないし。」
「ふーん、まぁいいけどね。」
そう言ってロシアはまた説明を再開した。
ポーランドも落ち着きを取り戻し、頭を切り替えてロシアに耳を傾けるのだった。

リトアニアがロシア宅に着いたのは日も完全に沈んだ頃だった。リトアニアは一通りの挨拶をすると、珍しくベラルーシに目もくれずにロシアとポーランドのいるであろう部屋へ直行する。
「失礼します。あ、ポーランド!!一体何しにロシアさんちに来たのさ?勝手にいなくなるから心配したんだよ!?」
「…そんなんリトのせいだし」
ポーランドを見つけるや否や保護者のような態度をとるリトアニアに、そっけなく返事をする。
「オレのせい?どういう事?わかんないよ、ちゃんと教えてよ。」
「……」
「ポー、どうして返事してくれないの?」
「彼、色々ショックだったみたいだよ。さっきまで君と僕がしてたプレイの話をしていたんだ。」
ロシアが横から口を挟む。
「え、プレイって…SMですか?」
「まあそんな事」
「一体何話したんです?鞭?蝋燭?それとも放置プレイとか緊縛系ですか?」
リトアニアは平然と様々なプレイ内容を口にする。
「リトの口からそんな言葉ききたくないしー!!!」
ポーランドは泣きそうになりながらリトアニアを抱きしめる。
「え、ポーランド!?どうしたの、急に。」
「リト、ホントにSMとかが好きなん?オレとするのに何か不満があるん?」
尋常ではない程不安そうにポーランドが尋ねる。
「…オレそんな事言ったっけ?」
リトアニアは今まで見たことのないポーランドの態度には怪訝な顔で切り返す。
「この間酒飲んだ時にそう言っとった。『オレ、叩かれるのとか罵倒されるのってたまらないんだよね』って…」
「え…オレそんな恥かしい事言ったの!?覚えてないよ…!っていうか何でそんな事本気にするの!」
「でも最近物足りなさそうだったし。…ちょっと乱暴にすると全然反応違うし。」
ポーランドはうじうじしながら答えた。それをきいて、オレ別にポーランドに不満なんてないからね、と真っ赤になりながらリトアニアは否定しはじめる。
「だってリトはよっぽど頭にこない限りいつも我慢とか平気でするし。それにオレ…リトがホントにそうしてほしいんやったらもっと色々頑張るし…」
リトアニアはポーランドがそこまで自分の事を考えていてくれているなんて正直思っていなかったので嬉しい気持ちもあったが、内容が内容なだけに羞恥心の方が大きかった。
「ポーランド…ホントに不満があったらオレちゃんと言うから。今まで何百年も一緒にいたのに今更不満なんてあるわけないでしょ。」
それに…とリトアニアは言葉を続ける。
「ポーランドのわがまま自体がもうSMプレイみたいなものだから」
「…はぁ!?」
「確かにロシアさんとはいろんなプレイしたけど、それはたまたま需要と供給が合ってただけで…まぁオレも若かったし、色々試したい時期だったんだよ。アメリカさんの鬼畜っぷりも素晴らしかったけどね。彼は小遣いもくれたし、ホント良かったなぁ。…あ、今は普通のプレイでも満足できるし、ポーランドのわがままに応えたり耐えたりするのもそれはそれで楽しいというか……」
リトアニアは少し照れながらきまりが悪そうに言ったが、それをきいていたポーランドは明らかに引いていた。
「ちょっ…リト、もうしゃべらんでいいし。」
ポーランドはその場に頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「ポーランド、どうしたの?大丈夫?」
リトアニアはポーランドの横にしゃがんで心配そうに覗き込む。
「…これ以上リトがしゃべったらオレ絶対泣くし。」
予想できない展開に、ポーランドは頭が混乱してショートを起こしそうだった。
その様子を傍らで見ていたロシアにはポーランドの気持ちが痛い程わかったが、それはあえてリトアニアに説明してやらないのだった。


ポーランドのあまりのパニックぶりに、ロシアは仕方なくリトアニアに退室を促した。リトアニアは色々と心配している様子だったが、結局ロシアの要求に従った。

「…僕も君も報われない恋をしているね」
リトアニアのいなくなった部屋でロシアはくすくすと笑いながら声をかけた。
「…お前はそれでいいん?」
ポーランドはしゃがみ込んだまま、すぐ後ろにいるロシアに体も向けずに言った。
「え?」
「リトがほかの人に抱かれてても別に怒らないん?お前はそういうのキライに見えるけど」
「…昔はそうだったけど、今はそうでもないよ。もしかしたらこれは恋とは違うのかもしれないし…君だってもうしばらくすればわかるよ。あれがリトアニアの本来の姿だってね。」
諦めきったようにため息を大きくついてロシアは言った。その言葉にポーランドは胡乱な視線をよこす。
「本来の姿?」
「そう、リトアニアは適応力があり過ぎる。誰の要求であっても体はすぐに開いてくれる。……まぁ心は中々開いてくれないけどね。」
それがあの子の処世術かもしれないね、とロシアは続けた。
「リトはそんなやつじゃないし!」
自分の中のリトアニア像を壊された気がして、ポーランドは思わず叫んだ。
「うん。君がそうやってわがままに振舞っているうちはね。」
「なっ…オレだってリトが一番だし、リトもオレの事ちゃんと想ってくれとるし!」
胸のわだかまりが消えずに、ポーランドは泣きそうになりながら反論する。
「だったら君はここへ来るべきじゃなかったんだよ。君に振り回されてる時が一番リトアニアの心を掴んでるっていうのに…わかる?」
「わからん…」
ポーランドはもはやロシアにですらすがりたい気持ちでいっぱいだったが、精一杯の理性がそれを引き止める。
「ああ、なんで僕が君にそんな事教えなきゃいけないのかな…つまりリトアニアと相思相愛になりたいなら君は彼のために努力する必要なんて何もないんだよ。さっき本人にも言われたでしょ?」
そう諭されてポーランドは少しだけ落ち着きをとりもどした表情できいた。
「そうかもしれんけど…でもやっぱりよくわからんし。なんでオレは何もしなくていいん?」
「今みたいにリトアニアの好きにさせて、いちいち要求に応えてたらすぐに誰かにとられちゃうよ?それがイヤなら君があの子を振り回し続ける事だね。…今まで素でそれができてたんだから君なら問題ないでしょ?僕だって彼にかまってばかりじゃいられないんだから。」
今日は君もリトアニアもうちに泊まってっていいけど明日ちゃんと連れて帰ってよね、そう言うとロシアは部屋を出て行った。


ポーランドはよろよろ立ち上がって窓の外を見ていた。
リトアニアのために良かれと思ってやっていた事全てが裏目に出るなんて。
「あいつが親切なのは怪しいと思っとったけど…こんなんマジ最悪だし。」
誰もいない部屋でそう呟いて、少しだけ泣いた。

「…ポーランド!」
ポーランドが部屋を出ると、リトアニアの姿が廊下の奥に見えた。ちょうどリトアニアが呼びに来る所だったらしい。
ぱたぱたと駆けてきたリトアニアは中々来ないから心配したんだよ、と過保護なセ科白を口にする。
「…リトはオレにかまい過ぎだし!」
いつものように憎まれ口をたたいて、ポーランドは食堂へ案内された。
…でもやっぱりオレ、リトがどんなんでもリトの事好きだし。
隣を歩くリトアニアを見上げながらポーランドは自分の意識を再確認した。
夜、ロシアに誘われた食事でロシアの家の料理を食べながら、ポーランドは明日帰る旨をロシアに告げた。

その日は遅くなったので、二人はロシアの申し出通りロシア宅に泊めてもらう事にした。
ポーランドとリトアニアはダブルベッドのある部屋を用意される。これはどういう意図なのだろうかとポーランドは色々疑ったが、なぜか嬉しそうなリトアニアを見ているとどうでもよくなった。
「リト」
「ん、何?ポー…んんっ」
実際これが誰の意図でも構わない。ならばその目論見通りに動いてやるさ、とポーランドはさっそくリトアニアとそのベッドで事に及ぶことにした。本当に自分でリトアニアは満足してくれいてるのだろうか。不安は拭えない。それを行為の最中も何度も尋ねた。リトアニアはポーランドの望む返事をくれたが、社交辞令といえばそうだし、結局真意はわからない。
一通り行為が終った後ポーランドがなかなか寝付けず悶々としていると、ぎし、とベッドが揺れた。その方向を見ると、隣で寝ていたはずのリトアニアがベッドを抜け出す所だった。「リト、どっか行くん?」
「あ、ポーランド…起きてたの?オレちょっと呼ばれてて…」
ポーランドは耳を疑った。こんな時間に呼び出すなんて非常識すぎる。
「呼ばれてって…あいつの所に行くん?何しに?」
「さぁ?でもこの時間に呼ぶくらいだから、それなりの事をするのが目的じゃないかな。」
悪びれる様子もなくリトアニアはさらっと言った。
「それをわかってて行くん?お前は誰でもいいん?」
―君だってもうしばらくすればわかるよ。あれがあの子の本来の姿だってね。
ポーランドはロシアのあの言葉が頭から離れず、苛立ちながらもどこか冷静だった。
「だって、仕方ないじゃない。ここに来たのはポーでしょ。それにオレだって誰でもいいわけじゃないよ。ちゃんと相手ぐらい選んでるよ。」
そういう問題じゃない!とポーランドは叫びたかったが、おそらくリトアニアの意識には浮気とかそういったものの枠組みがない。本人が何とも思っていない事をどうこう言っても理解されないと考え直して、不本意だが好きにさせる事にした。
「……もうリトなんか知らんし」
ポーランドは出ていくリトアニアに背を向けてふて腐れた。流すつもりのない涙が勝手に溢れてくる。
「ごめんね、ポー。…できるだけ早く帰ってくるから。」
「今日はもう帰ってこなくていいし!」
ポーランドは泣きながら叫んだ。
ロシアの所になんか行って欲しくないのに、結局行かせてしまった自分が情けなくて。それをリトアニアに理解してもらえないのも悔しくて。
本当にオレがリトを振り回し続けるしかリトの心を手に入れられないん?オレがリトのために何かするのはダメなん?
ポーランドは自問自答し続けるが、結局何もわからない。もしかしたら答えなんて永遠に出ないのかもしれない。どうせ誰もいない部屋なのだから、思いっ切り泣いてしまおうとポーランドは思った。泣き疲れてしか今夜は眠れそうにない。
「…っリト、……どうしてオレだけじゃダメなん…?」
今リトアニアがどうしているかなんて考えたくもない。いっその事、リトアニアを嫌いになれればいいのに。
一人で寝るのはイヤだ。誰か側にいて欲しい。でもその誰かは誰でもいいわけじゃない。
リトアニアはその「誰か」が自分だったりロシアだったりアメリカだったり、それ以外の誰かだったりするのだろうか。

もしかしたらリトアニアが一番寂しがりやなのかもしれない、とポーランドは思った。




「…あんまりポーランドを苛めないで下さい。」
ウォトカを飲み干してリトアニアは言った。ロシアの寝酒に付き合わされ、30分の間にかれこれ10杯以上は飲んでいる。
「ポーランドってさあ、ホント子供だよね。見た目はカワイイのに、あの性格だから…もうからかうしかないじゃない?」
君がかまい過ぎたからあんな性格になっちゃったんだよ?と言ってロシアはリトアニアに口付けをする。
「んんっ……でも、ポーランドが言うように、オレにはモラルが欠けてるような気がします。これからはちゃんと…」
「君、ここに何しに来たの?やりに来たんでしょ?」
「え、まぁ…そうですね……」
ただでさえ恐いのにアルコールが入って目が据わっているロシアに逆らえず、リトアニアはそのままロシアに組み敷かれる。
「あ、あの、ロシアさん…ポーランドにバレたらまずいので今日は鞭とかそういうのは…」
「じゃあ放置プレイにしようか?」
「え、それもちょっと…」
リトアニアの苦笑いに、ロシアは満足そうに微笑んだ。
ああ、もう今夜は放置プレイ決定だな。しかも相手があのロシアではそれだけって事はないだろう。酒の勢いという事にしよう、うん。リトアニアはそう自分を納得させる事にした。




翌日、ポーランドはすっかり元通りだった。部屋に帰ってこなかったリトアニアに対しても何もきかなかった。
そして相変わらずいつものように尋常じゃないわがままでリトアニアを振り回している。こんなわがままに応えられるのなんてオレぐらいだからね、とリトアニアは嬉しそうに言う。

ポーランドだってあれから何も考えていないわけではない。あの晩さんざん泣いて何かがふっ切れただけだ。
―いちいち要求に応えてたら誰かにとられちゃうよ?それがイヤなら君があの子を振り回し続ける事だね。
ロシアの言葉が時々脳裏をよぎる。本当は別にこんな事をしなくたっていいのだ。もっとリトアニアを思いやるような言動だってできないわけではない。でもリトアニアが自分に振り回されるのを悪くないと思っているのなら、それでもいいかと素のままでいる。

どうやったってオレはリトのこと好きやし。せっかく一緒にいられるのなら、楽しい方がいいに決まってるし。
そう思って今日も自分ルールを発動するのだ。

…いつからこんなに好きなんかな。
月日の流れと共に変わってしまったのはもしかしたら自分なのだろうか。でもこの気持ちだけは失いたくないし変わりたくもない。
いつまで一緒にいられるかわからない。これまでだってそれなりに苦労してきたのだから、今がどれ程貴重な時間なのかはわかっている。だから少しでも長く一緒にいたい。リトアニアも同じように思っていてくれるならいいのに、とポーランドは思った。

どうすればリトの心を手に入れられるかなんて正直わからん。それでもいつかは必ず手に入れてみせるし。
だから忘れないようにしよう。同じ夢を見ていたあの頃のように。
好きになりはじめの気持ちのままで。

「ポーどうしたの、今日は自分ルール発動しすぎなんじゃ…」
「リトの困った顔超ウケるしー!!」
そう思いながら、ポーランドは色々と呆れるリトアニアの顔を笑った。



   fin.

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