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朝の澄んだ空気が部屋の中に少しずつ入ってくるのを感じる。オレはだるい体を無理矢理起こしていつものように布団を片付けた。
もうすぐイタクがやってくる。それまでにこの沈む気持ちを何とか切り替えなければ。
そう思って障子を開けると、外の少し冷たい空気が肌に触れてほんの少しだけ目が冴えた気がした。明るくなった空が今のオレにはとても眩しい。肌寒いのもすぐに慣れるかと思っていつも通りの装いでいると、「今日は寒いらしいぞ」とイタクが声をかけてきた。
「ああ」
一言だけそう言ってオレはイタクと目も合わさずにぼんやりと空を眺めた。イタクはしばらく黙ってオレの方を見ていたけれど、やがてどこかへ行ってしまった。
イタクの姿が見えなくなったのを確認して、ほっと胸をなでおろす。ようやくまともに呼吸ができるようになった気がした。それくらいオレは緊張していた。
部屋の片隅で壁にもたれかかるとそのまま体中の力を抜いて座り込んだ。そしてそのまま膝を抱え込んでうずくまる。
大して広くもない部屋のどこを見るわけでもなく、ただ思考が停止していた。
…今日もダメだった。
そんな思いだけが頭の中を巡って、どこにも焦点の合わせようとしないオレの目はどんどん世界を狭くしていく。
こんなことを考えていてはいけない。わかっているのにどうしても他の事に気が向かない。視界には何も映していないのと同じだし、寒さにも慣れることはなかった。
結局何一つオレは自分の力で解決できていないのだ。今日もイタクを安心させることはできなかったし、平気なふりもできなかった。
このまま何も考えずに消えてしまえたらいいのに。何度そう思ったか知れない。
でもイタクはオレが何も言わなくても気が付いたら傍にいてくれる。望みも口に出来ない情けないオレの、こんなどろどろした浅ましい気持ちもきっとイタクはお見通しなのかもしれない。
それがどうしようもなく恥ずかしくて、嬉しくて…。そう自覚したところで結局オレは顔も上げられないとわかっているのだけれど。




日記に載せてたもの(たぶん)。
タイトル変えました。

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