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小話5話。
露立、波立、米立、立ベラ、オールキャラ+立。



1.Sebben, crudele (露立)

その瞳が映すのは僕ではない。
体は無理矢理手に入れる事ができても、それは君の器でしかない事はわかっているんだ。

「…ロシアさん?」
「え?ああ、ごめんね…」
僕が優しく抱いても君は冷めた反応しかしてくれない。だからどうしても暴力に訴えてしまう。
苦痛に喘ぐ姿でも構わない。少しでも違った反応が欲しくて。
「ん…あぁっ、ロシアさ…」
乱暴に扱っている時の涙で滲む君の新緑の瞳が1番キレイだと思うんだ。
君が誰を想っているかなんていちいちきかないけれど、こうしている今だけは僕の名前を呼んでくれるから。
僕だけを見て。僕の事だけ考えて。
君から全てを奪っておいて心まで欲しいなんて、過ぎた願いだよね。でもリトアニア、君がこんな風に誰かの腕の中で僕ではない誰かをその瞳に映して僕ではない誰かの名前を呼んでいたら、きっと僕は君を殺してしまうだろう。

――僕を憎めばいい。
その負の感情は僕の事で埋め尽くして。そうすれば僕は君の一部でいられるから…。

そう思いながら僕は君の首に手をかける。本当にギリギリまで愛おしい君を殺すつもりで。
君の恐怖、憎しみを僕が支配できるように。
「…ぅ、あ…っ、……ゆ、許し…て…」
泣きながら懇願されたって君の願いを叶える気はない。この胸の痛みは君がいなくなれば消えるの?


…ねぇリトアニア、いっその事、君が僕を殺してくれたらいいのに。



   fin.



***



2.Sebben, crudele (波立)

ずっと一緒にいられると思ってた。たとえ離れてもこの気持ちはお互い永遠に変わらないのだと。


最近オレはリトと寝るのが怖い。
もしリトがオレ以外の名前を呼んだら、多分生きていけないくらいのショックを受けるだろう。

「ポーランド、オレ食器洗うから先にお風呂入っちゃってね。」
「わかっとるしー」
リトはいつだってオレの事を考えて行動してくれるのに、オレは自分が傷付くのが怖くて逃げ回っているだけだ。
情けなくて涙も出ない。
―結局信じられないのは自分の方じゃないか。
でも今リトがオレを愛してると言ってくれても、オレは不安を拭えない。



変わったのはオレの方だし…。
リトごめん、ごめんな…。



オレは、オレだけは変わらずにリトを想っていよう。
そう、例えリトがオレ以外の誰かを想っていても。



   fin.



***



3.Sebben, crudele (米立)

君がロシアに連れ戻されてから、何をしていてもオレは君との思い出しか出てこないんだ。結局中途半端にしか君を助けてやれなかったし…もっと色々な時間を過ごしたかったよ。
君が独立するまでは、君を従えているロシアが気になって仕方がなかったし、時々会議の合間に話し掛けてくれる君の笑顔を見るとホッとした。
でもロシアといる時の君の瞳は心なしか曇っているようで、できることならその憂いを払ってやりたかった。
いつもの調子で思った事をきけばいいのに、君の前ではそれすらもうまくできないみたいだ。
…それでも変わらぬ笑顔をオレに見せてくれるから、オレは期待してしまう。
おかしな話だと頭では解ってる。ロシアや君の相棒のポーランドに比べたら、オレが君に関わった時間はほんのわずかだしね。
思い出の中の君は言葉では言い尽くせない程素晴らしくて、オレの腕の中で永遠に抱いていたいと今でも思うよ。

もし今君がオレを頼ってきてくれたなら、オレは全力で君を助けるだろう。君の事だからきっと自分のためなんかじゃないんだろうな。それでもいい。君の力になりたいといつでも思っているから。
ロシアに連れて行かれた君を黙って見ている事しかできなかったあの頃とは違うんだ。
君の瞳にオレを映すためなら、君がそれで心から笑っていてくれるなら…君のためでなくとも何でもしよう。
自惚れてるわけじゃないさ。それで君の心を手に入れる事ができるとは思わないしね。


でもたとえ君が振り向いてくれなくともオレは君のためにやってやるさ。
君のおかげで今の、そしてこれからのオレがいる事だけは真実だから。



   fin.



***



4.Sebben, crudele (立ベラ)

最近毎日のようにベラルーシちゃんから贈り物が届く。
一言のメッセージも添えられていないのは残念だけど、そのままポストに入ってるってことは直接届けてくれているわけだし、贈り物のほとんどは生ものだから彼女なりに気を使ってくれてるってことだよね。一言挨拶してくれたらオレだってお茶に誘ったりできるのに、ベラルーシちゃんたらオレに会わないようにこっそり入れていくんだ。そういう恥ずかしがり屋な面を見せてくれるのは、それはそれで嬉しいんだけどね。

でもポーランドはオレがベラルーシちゃんについて語るのが気に入らないみたいで、いつも「お前は騙されてる」だの「かわいそう」だの言うんだ。彼女の事苦手なのはわかるけど、いつも水を差してばかりでちょっとひどいよね。
それにエストニアやラトビアもオレがベラルーシちゃんの話をしていると複雑そうな顔をするんだ。どうしてなんだろう。二人もベラルーシちゃんは小さい頃から知ってるはずなのに。
エストニアは「彼女はロシアさんしか見えていないからやめた方がいいと思いますよ」なんて言うし、ラトビアも若干それに同意してるみたいなんだよね。

ロシアさんに至っては「ベラが君に振り向くなんてありえないよ」って自信たっぷりに言うんだ。
ウクライナさんも「ベラちゃんはロシアちゃん一筋だから…」って苦笑いしていたっけ。


こうして考えると皆ひどいよね…。
いくらベラルーシちゃんがロシアさんの事好きだとしても、ロシアさんにその気はないみたいだからこれってチャンスだと思うんだ。オレがベラルーシちゃんの事を想い続けていればいつかは彼女にも届くと思うし、振り向いてくれる事だって夢じゃないような気がするんだ。それにオレには彼女から毎日贈り物が届いているという事実もあるわけだし、もっと前向きに頑張ろう!
そう思ってオレはいつもベラルーシちゃんに話しかけるんだ。最近は時々だけど、強く手を握ってくれたりしてくれるようになった。これって進歩だよね?
それにこうして毎日贈り物を届けてもらってばかりなのも悪いから、ベラルーシちゃんが帰りに気軽に食べられるように今度からパンデーレとかをポストに入れておこうと思ってるんだ。もし彼女がそれを受け取ってくれたらなんだか文通してるみたいでいいよね。うん、悪くない。

会えば相変わらず悪態をついてくるけど、オレがいつも笑顔でいたらいつかは彼女のつれなさをなくす事ができるはずだよね。だからベラルーシちゃんに何があったとしても、オレだけは変わらずに接していたいと思うんだ。

そう、たとえロシアさんが彼女に振り向いたとしても。



   fin.



***



5.Sebben, crudele (リト+オールキャラ)

今日は珍しくポーランドがご飯を作ってくれた。ご飯だけじゃない。おやつの準備や洗濯、掃除もしてくれた。
今日は何の日だっけ?それともいつもの気まぐれ?
…わからない。

そういえば最近アメリカさんやロシアさんからもコーヒーやキャビアとかかなり高級なものが送られてきたっけ。
これだけ揃えばやっぱり何かあると考えるのが普通だよね。
でも本当に何も心当たりがない。
親切にされて相手を疑うなんてひどい事なんだろうけど、相手があの三人じゃあ気味悪くて仕方がない。
「ねぇポーランド、どうして急に家事をしようと思ったの?いつもはオレにやってって言うのに。」
「え?そ、そんな事ないんよ。リトがいない時はちゃんと自分でやっとるし」
やっぱりおかしい。絶対何か隠してる。
ポーランドはこういうウソをつくのが苦手だ。すぐに顔に出してしまうから。オレは意を決してもう一度きいてみた。
「ねぇ、ポーランド、一体何があったの?教えてよ」
「もう、オレがせっかく家事やる気になっとんのに邪魔せんで!リトはソファーでゴロゴロしとけばいいんよ。」
…全然取り合ってくれない。もういいや。何だかよくわからないけど、今は何も起きてないし。
「じゃあポーランド、オレちょっと散歩でもしてくるね。ついでに夕飯の材料でも買ってくるから。」「買い物なんかせんでええって言っとるのに!」
「え?大丈夫だよ。っていうかポーランドやっぱり何か隠してるでしょ。」
ポーランドはしまった、という顔をする。こうなったらあとは時間の問題だろう。とりあえず問い詰めるしかない。
「ねぇ、何なの?教えてよ。俺に関係ある事なんでしょう?」
「…だってベラが……っていうかやっぱ言えんし!」
ポーランドがオレから目をそらす。
「え、ベラルーシちゃん?彼女が何か言ってたの?ねぇ、ポーランドったら!」
結局ポーランドはそれだけしか教えてくれなかった。
オレは悶々としながらも仕方がないので散歩に出ようと玄関へ向かう。
オレがちょうどドアを開けようとした時、家のチャイムが鳴った。
そのまま出ると宅配便の配達だった。しかもかなり大量だ。
荷物を受け取ってから宛名を見てみる。
隣のラトビアやエストニア、ドイツさんからもきてる。他にもイギリスさんやフランスさん、それにアジアの日本さんや中国さんからもだ。
荷物の中身は手編みのセーターやマフラー、高級食材や健康に良さそうなお茶や食べ物だった。この組み合わせは何…?
日本さんやドイツさんからは健康に気をつけて的な手紙も添えられているし、やっぱり何かあるんだ。数人に電話をしてみたけれど、皆口ごもって何も教えてくれない。
さっきポーランドが口を滑らせた時に言ってたベラルーシちゃんが何かしたに違いない。
どうして皆何があったのか教えてくれないんだろう…。間違いなくオレの事なのに。
気を取り直して散歩に行こうと家を出てすぐだった。
ポーランドの大好きな友人、イタリアが歩いて来るのが見えた。何か荷物を持っている。まさか…。
「あ、リトアニア久しぶり~。具合どう?もう歩いても大丈夫なんだね~。」
これ、お見舞いにと思ってもって来たんだ~と差し出されたのはパスタやチーズ、トリュフやフンギ・ポルチーニの瓶だった。なるほど、イタリアらしい。
オレは一通りのお礼を言うと、とりあえず家に招いた。ポーランドもいるからきっと喜ぶだろう。
家に戻る道中で、意を決してオレは尋ねてみることにした。
「あの~、オレのどこが具合悪いってきいたの?」
「えっ!?そ、それは…」
イタリアが口ごもる。しかもなんか顔も真っ赤で恥ずかしそうだし。やっぱり何かある。
「是非それをききたいんだけど…少しでいいから教えてくれないかな?」
はやる気持ちを抑えて、オレは笑顔できいた。
「えっと、何か…人に言えない病気だってオレはきいたよ?…痔とかかな~…ってオレは思ってたんだけど、違うの?」
何、それ?
「だっ、誰から?誰にそれをきいたの?」
「ポーランドとベラルーシだよ?この間の会議で…『最近リト人に言えない病気で大変なんよ~』って…」
「!?」


「ちょっとポーランド、どういうこと?」
ドアを勢いよく開けてオレはポーランドを問い詰めた。ポーランドもオレの顔を一目みるなり、長年の付き合いでオレが怒っていると察したようだ。
「ねえ、どういうことなの?オレ何か病気なの?しかもこんなにお見舞いの品が届くほどの!!」
ポーランドはばつが悪そうにあーとかう~とか言う。暫くそうやってお茶を濁していたが、観念したのかゆっくりと喋りだした。
「ベラルーシが言ったんよ…」

話を聞くとそれは実にどうしようもない内容だった。
つまり二人でオレが病気だと周りに触れ回って、お見舞いの品をゲットしようという作戦だったらしい。
「どうしてオレをそんな病人に仕立て上げるの?お見舞いの品が欲しいんだったらそれが欲しいポーランドが病気になればいいじゃない。」
オレは呆れて怒る気にもなれなかった。
「…だってオレじゃそんなにいいもん皆くれんし。リトだからくれるんよ。そんなことも知らんの?」
言いたいことは何となくわかるけど、だからといってオレを利用していい理由にはならない。全てがわかった以上、このお見舞いの品を受け取るのも気が引ける。
「とにかく、このお見舞いの品は事情話して皆に返してよね!」
ポーランドたちのせいなんだから、責任もってちゃんとやってね、と言ってオレは出かけた。
「オレのお見舞いは持って帰るの面倒くさいからもらってよ」と隣でイタリアが笑っている。


歩きながら、今日は一体なんの日だったんだろうと考えた。周りからこんなに優しくされて恐怖を覚えるなんて、オレも相当ひねくれているんだろうか。なにより一番ショックだったのは、利用されていたことよりも、今日のポーランドの甲斐甲斐しさがオレを騙してた罪悪感からきてたことだ。

「…どれだけ振り回されてたらいいんだろ、オレ」
頭の中がようやく整理できたオレは思わず呟いた。
でもそんなポーランドもキライじゃないけどね。もちろんベラルーシちゃんも。
そんな事を思ってしまう自分にもオレはなんだかとても呆れた。



   fin.

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