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※サキサカユキジ様のjachinよりお題をお借りしています。

1. 朝食はカレー

朝、オレは部屋中を特徴的な香りが漂っていることに気付いた。オレの家やリトの家の料理とも違うそれ。でも台所に立っているのは間違いなくリトだろう。
…朝から何を作ってるん?
そう考え始めるといてもたってもいられなくなったオレは、刺激的なその香りに誘われてリビングに顔を出した。


「ちょっ…何で朝からカレーなん?」
「あ、おはよう、ポーランド」
背後からいぶかしげに鍋の中を覗き込むオレにリトはいつもの朝のあいさつをする。
「リト…なんで朝からこんなん作っとるん?」
「カレーのこと?何となく作りたくなって……ダメかな?」
「や、ダメじゃないけど…いきなりどうしたん?」
「この間カレーの専門店に行ってすごく美味しかったから作ってみたいなあと思ったんだよ。…ポーランドと一緒に食べようと思って。」
リトははにかみながらそう言った。

…そんな風に笑顔で言われたらこっちまで恥ずかしくなるし。
ましてやそれがオレと一緒に食べるために朝から作ってくれているのなら尚更。

「ポーランドが嫌ならカレーはお昼ご飯にして、朝ごはんは今から別のもの作るけど…」
オレが黙り込んでしまったのを、不機嫌になったと感じたリトは気を遣うようにそう言う。
「……い…。」
「え?」
「…カレーがいい。リトが作ったんなら美味いに決まっとるし。」
それに…リトがオレのために作ってくれてるんやから、食べたくないわけないやん。
「…そっか、わかった。もうすぐできるからその間にポーランドは顔でも洗ってきたら?」
リトはあからさまにほっとした顔をして、それから食器を出したり飲み物の準備をしたりした。
「ん…顔洗ってすぐ着替えてくるしー」
オレはそう応えて洗面台へ向った。



   fin.

***

2.残飯処理係

「リト、これやるしー」
そう言いながらポーランドは半分も食べていないパフェをオレによこした。
「またなの!?さっきのケーキもほとんどオレが食べたじゃない。」
「だってあれ、オレが思ってたのと違う味だったしー」
ポーランドは悪びれもしない。
「…ちゃんと自分が食べられる量だけ頼んだらどうなの?」
「や、ちゃんとオレの思ってた通りの味だったら全部1人で食べれてたし!」
「はいはい…」
オレがアメリカさんのように太ったら絶対ポーランドのせいだ。そう思いながらも渡されたパフェもケーキも全部食べてしまう。

…オレってポーランドに甘いな。
結局逆らえないあたりが何とも言えない。
いろんな人に「ポーランドに甘すぎる」って言われるけど、ポーランドがこんな事言うのオレにだけだし仕方ないじゃないか。甘やかしすぎなのはよくないってわかってるんだけど……振り回されてもなんだかんだ言って幸せな自分がいる。

「…甘いなぁ……」
「そんなん当たり前だし!」
ポーランドが自信満々に答える。
「そういう意味じゃないんだけどね……」
お前がわがまま言えるのはオレだけかもしれないけど、お前のわがままに付き合えるのもオレだけだよ。こんな事言うと自惚れてるみたいだから言わないけど、そんな事を思いながらオレはパフェを完食した。



   fin.

***

3.叶えるつもりもない献立

ポーランドが唐突に何かを要求するなんていつもの事だけれど。


「リト、あんなー、オレパスタが食べたいんよー。」
「…イタリアの所に行って食べればいいじゃない。」
「何、リト怒っとるん?」
「別にそんなんじゃないよ…。こういうのは本場の方がおいしいでしょ。」
「リトが作るのがいいんよ。リトが作れば何でも美味いし。」
「………嫌だよ。」
「えー何でなん?リトこの間日本料理作っとったやん」
「あれは…オレが作りたくて作ったからいいの!」
「リトってパスタとか嫌いなん?」
「嫌いってわけじゃないけど……とにかくオレはパスタは作らないからね!」
「……じゃーリトんちのツェペリナイでいいし。」
「…わかった、夕飯はツェペリナイにするね。」
「あとサコティスとパルシュキも作って。」
「そんなにたくさん無理だよ…。ツェペリナイ作るだけでも結構大変なのに…」
「じゃーオレが手伝うし!」
「珍しい…何かあったの?」
「…別に何もないしー。リトこそいい加減気づけだし。」
「え…何?」
「リトがパスタ作らないのは初めから計算済みって事!」
「なっ……じゃあ最初からツェペリナイが食べたいって言えばいいじゃない。」
「それじゃオレのありがたみがなくなるっしょ?」
「何それ、意味わかんないよ。」
「…リトのそういう困った顔が見たかったんよ」
「…あっそ。じゃ、オレはキッチンで準備してくるからポーランドも手伝ってよね。」
「ん、わかってるしー!」
(……まぁオレもポーランドのそういう顔が見たくて言ってるんだけどね。)



   fin.

***

4.賞味期限は見ない方向で

「ポーランド何食べてるの?」
ポーランドの食べているそれは、チーズ入りのマフィン。小腹がすいた時用にって甘くないそのマフィンを買ったけれど、それは一ヶ月以上は前のことだったとオレは記憶している。
「ちょっ…それ賞味期限切れてるんじゃない?」
「んーそうかもしれんけど…別にこんなん気にしなくても死なんし大丈夫だって!」
「そりゃ賞味期限は美味しく食べられる期間の表示だから少しくらい過ぎても大丈夫かもしれないけど…」
そのマフィンは美味しく食べられる期間も、お腹壊さないって意味で食べられる期間もはるか前に過ぎている気がする。
「んじゃーとりあえずそれは見ないで食べた方がよくね?」
「…なんでそうなるの。」
「賞味期限過ぎてるって知ってて食べたら何となく不味くなる気がせん?」
「まぁ気持ち的には…」
「だったら知らんでいいこともあるんじゃね?」
「根本的解決になってない気がするけど…ポーランドがいいならそれでいいよ。」
なんか違う気がするけど、もうポーランドがいいならいいやと思って、投げやりにオレは言った。
「じゃあリトもこれ食ってみ?」
「え…いいよ。それ賞味期限危ないでしょ?」
「大丈夫だって!今言ったやん。賞味期限なんて関係ないんよ。ほら、オレが食わせてやるし」
「……なんか恥ずかしいな…」
「今更何言ってるんよー」
そう言われてポーランドに食べさせてもらったマフィンは、賞味期限なんて気にもならないくらい甘い感じがした。



   fin.

***

5. 愛のこもったインスタント・ラーメン

今日はポーランドがお昼ご飯を作ってくれると言っていたので、午前中は安心して出かけていた。何を作ってくれいているのかとても楽しみで、オレはおやつなんか買い込んで上機嫌で帰宅した。
「ポーランド、ただいまー」
奥からお帰りだしー、とポーランドの声がきこえる。リビングに向うとポーランドはまだ寝間着姿だった。さっき起きたとでも言わんばかりだ。
「リトいいタイミングやん。今お湯沸いたところだし。」
「お湯?…今から作るの?もう一時過ぎてるよ。」
「これ三分でできるんよ。超便利だと思わん?」
ポーランドがそう言って底の深い容器にお湯を注ぐ。
「それって…インスタント?」
「ん。日本からもらったインスタントラーメンなんよー。…絶対美味しいし!」
そりゃあ日本さんの家の商品はどれも信頼できるものばかりだ。インスタントとはいえ美味しいに違いない。
「…ポーランドが作るって言ってた今日のお昼ご飯ってこれだけなの?」
「…足りんかったらサラダでも作ってやるし。まずは食ってみ?」
ポーランドが3分経ったのを確認してそのラーメンを勧める。
「あ…美味しい……」
「やろ?オレが作ったんだから当然だし!!」
ポーランドは得意気にそう言った。
「ポーランドはお湯入れただけじゃないの?」
「違うし!!オレがリトのために作ったんよ!?特別に決まっとるし!」
「え…じゃあどのへんが特別なの?」
「…い、色々入っとるんよ、隠し味が。」
「何、それ。」
「ひ、秘密。…言ったら隠し味の意味ないし。」
「…まぁいいけどね。」
今日のポーランドはちょっと挙動不審だなぁと思いながら、オレはそのインスタントラーメンを完食した。お湯を入れるだけの手間とはいえ、作る過程さえ見ていなければインスタントでもご飯ができているというのはやっぱり嬉しい。それをしてくれたのがポーランドだからっていうのもあるのかな。
「ポーランド」
呼びかけてポーランドに目をやると、なぜか顔を赤らめていて目が合ってもすぐにそらそうとする。
「な、何なん?」
「いや、ポーランドはそれ食べないのかなと思って。ポーランドのラーメンも食べ頃でしょ?のびちゃうよ?」
「ん…今食べるしー」
ポーランドはそう言って慣れないお箸を使ってインスタントラーメンに手をつけた。



   fin.

***

6.おあずけ

「あ、フルーツあるやん。」
そう言ってオレはリトが用意したデザートらしきその皿に手をつけようとした。「ポー、それ食べちゃダメだからね!」
「えー食べたらダメなん?何に使うん、これ。」
「今から果実酒造るんだよ。余ったら食べてもいいから。」
「…じゃー何か酒でも飲んで待っとくし。」
オレがそう言うとリトはミドゥスを出してくれた。リトの作業が終わるまでオレはそれを飲みながらリビングのソファでくつろいでいたけれど、一時間くらい経ってもリトはキッチンから出てくる気配がない。
酒も少し回ってきていい気分だったので、オレはキッチンに行ってみることにした。リトは相変わらずオレにも気づかないくらい一生懸命何かを作っている。
「リト」
「どうしたの、ポーランド」
「まだ何かしとるん?」
「ごめんね、もう少しで終わるから……それよりポー、結構飲んだでしょ。顔とっても赤いよ。」
「リトが来ないのがいけないんだしー。…オレがせっかく遊びに来たのにひとりにするとかありえんし。」
「そこにあるフルーツ食べていいからあとちょっとだけ待ってて。」
「もう待てんしー」
オレはそう言って食器を洗おうとしているリトに後ろから抱きついた。
「ちょっ、待ってよポー!!」
リトの慌てる姿がかわいくて心地よい。
「洗い物なんて明日でいいやん」
「どうせ明日って言っても早く起きられないじゃない…それに疲れてるだろうし」
「…リト何やらしい事考えとるん?」
「べっ別にそういうわけじゃ…」
リトをからかうのが面白くなって、オレのいたずらはますますエスカレートする。
「ちょっ…だからあと少しだけ待ってってば!」
「…リトはオレとしたくないん?」
「そんなわけないでしょ。もう…色々我慢してるのはオレの方なんだからね。」
リトの顔はよく見えんかったけど、きっとオレと同じくらい赤くなっているに違いない。
なんだか嬉しくなったオレは「じゃあもう少し我慢しといてもええし」と一言投げかけて、テーブルに置かれていた余ったフルーツをつまみながら洗い物をするリトの背中を眺めることにした。



   fin.

***

7. 最後のプリンの行方

「あ、ない…」
冷蔵庫にひとつだけ残っていたプリン。オレは食べていないから、犯人は明らかだ。

「ポーランド、冷蔵庫にあったプリン食べたでしょ。」
「……名前書いとらんかったし。」
リビングのソファで寝転がっていたポーランドは気まずそうに振り返って言った。
「書いてあったよ。それにお前の分はオレより二つも多く買ったじゃない。」
「一個くらいケチケチすんなだしー」
「…それはお前でしょ。オレの分はあの一個しかなかったの!」
四つしか買わなかったのに…オレが呆れながらそう言ってキッチンに戻ろうとすると、ポーランドに呼び止められた。
「…これ、やるし。」
差し出されたのはオレが行方を探していたプリン。やるもなにもオレの名前が書いてあるものだ。
「半分やるから…今一緒に食べるし。」
ポーランドにとってこれが精一杯の譲歩なのはわかっている。「半分やる」なんて言葉が横暴であることを本人が十分理解してることも、本当はちょっと悪いなって思ってくれてることも。
「…じゃあ一緒に食べようか。」
そう言ってオレとポーランドはひとつのスプーンでそのプリンを食べる事にした。



   fin.

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