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スタンドライトを点けただけの薄暗い談話室。スクアーロは深夜までベルフェゴールの帰りを待っていた。
待つだけなら談話室でなくてもよかったが、自室では眠りについてしまいそうだし、ベルフェゴールの部屋だと彼のいない寂しさに手慰みに色々始めてしまいそうでやめた。
それに今起きているのはヴァリアーのボスであるザンザスの留守中にその名代を任されているためでもある。ベルフェゴールの報告を受けるまでスクアーロの仕事は終わらないのだ。
普段はそんな大義名分などなくても恋人の帰りを朝まで待っているくせに、これは仕事なのだと自分に言い聞かせるスクアーロには思うところがあった。
既にベルフェゴールに同行した部下からは任務完了の報告とその帰還を確認している。つまり彼はわざと遅れて帰ってくるのだ。部下を先に帰らせてどこに寄り道しているかは見当がつく。だからこそ自制するために談話室にスクアーロはいるのだった。
任務完了予定時刻の一時間ほど前から飲み始めたワインは既に三本空き、四本目に突入している。つまみにしていた乾き物もとっくになくなっていた。
「…何、お前酔っぱらってんの?」
ドアの隙間からわずかに漏れた灯りを見つけてベルフェゴールは現れた。
「女臭ぇ」
背後から抱き締められたスクアーロは自分の予想が当たっていたことにうんざりした。触んなぁ、と首に絡まる腕から逃れようとするのを恋人は許さなかった。
「んぅ…っ」
顎をすくわれてそのまま後ろへ。頭を大きく反らす体制で受けるキスはこれまでに何度も味わったものと同じ。酔った体でもはっきりとわかるその感覚に、それを待ち望んでいた自分を認識させられてスクアーロは歯痒くなる。
「酔い醒めた?」
スクアーロの隣に移動し、わざとらしく服の中をまさぐりながらベルフェゴールはたずねた。るせぇ、とわずかに抵抗を含ませた声が返ってきたが気にせず行為を続ける。
「今日さぁ、寒かったじゃん?王子温まりたくて早く戻ろうとしたんだけど繁華街の女どもが煩くてさぁ…」
声かけてきた奴ら適当に抱いて殺ってきちゃった、と悪びれもせずに告白する。
無益な殺生はするなと何度言ってもきかない年下の生意気な王子様は雪の深い夜に任務に出ると必ずそんな遊びをする。自分の血を見た時のように無意識なのかもしれない。今に始まったことではないが、こんな事には慣れたくないとスクアーロは思う。いい加減にしろと言ったってきかない。病気なのだこれは。それでも割り切れるものではないけれど。
「任務の報告は?」
理性を振り絞って行為を中断させる言葉を放つ。ベルフェゴールの帰りを待っていた一番の理由はそれなのだと、きわめて事務的にスクアーロは報告書を要求した。
「他の奴らから報告受けてんだろ?だったらオレのは後でいーじゃん」
「明日の朝にはボス帰ってくんだよ、てめーからの報告書を渡せなきゃオレが殴られんだろーがぁ!」
いつものように怒鳴ってみても、本心なんてバレている。好きでもない銘柄のワインを空けていた理由も、さっきのキスで機嫌が良くなっている事も全て。
「外、雪降ってた。なぁスクアーロ、寒いんだよ。」
「るせぇ、いつも勝手な事ばかりしやがって」
一方的に吐き捨てると有無を言わさずベルフェゴールを押し倒す。
情熱的なキス。ベルフェゴールがスクアーロにしたような相手を宥めるための優しいキスではない。ただひたすら自分の欲望のため、相手を貪るためのもの。
オレがどんな気持ちで待ってたと思ってんだぁ、と顔に書いてある。そんな人間らしい感情を隠さない年上の恋人がベルフェゴールは愛おしくてたまらない。体の芯が熱くなるのがわかる。
「ししっ…やっぱさぁ、オレはお前じゃないとダメなんだよね」
「だったらもう寄り道なんかすんじゃねぇ」
体が冷たかったのはベルフェゴールだけではなかった。
ベッドで毛布に包まればそれなりに温かい。それをせず、わざと悪酔いするような真似をして恋人を待っていた彼もまた寒かった。
「…うん、そうする」
ベルフェゴールが冷えた恋人に熱を分け与えながら、このまま行為を続けようかそれともどちらかの部屋に移動しようかと考えをめぐらせていると、ふと時計が目についた。時刻はとっくに日付が変わっている。
「なぁ、オレに何か言う事ない?」
「……ねぇよ、クソ王子」
たっぷりの間が答えを知っていることを物語っている。それを素直に言わせなかったのは自分の行いのせいだと王子はわかっていたので、苦笑する。
「…かぼちゃ」
「はぁ?」
「ジャッポーネではさ、冬至の日にかぼちゃを食べるんだって。そうすると長生きできるらしいぜ?」
「だから何なんだぁ!?」
「一眠りしたらさぁ、オレのためにかぼちゃのニョッキ作ってよ」
「…ルッスに作ってもらえばいいだろぉ」
「お前がいーんだよ、お前が作ったやつ一緒に食べたい。」
なぁいいだろ?と銀の髪を指に絡めて口づける。
「てめーの誕生日が毎年冬至とは限らねーだろーがぁ。それに長生きする気なんざこれっぽっちもないだろぉ」
毒づく恋人に、「そうだけどさ」と答えながら背中に腕を回す。
「せめて来年までは生きたいじゃん。…そんでさ、毎年ニョッキ作ってよ。また次の年も生きられるように」
あたかも永遠に生きていられるような発言をしながら優しく頭を撫でると、スクアーロはゆっくりと目を閉じて何度も体験したことのあるこの先の快感を思い出す。
「…お前は」
「え?」
「毎年かぼちゃのニョッキ作ったらお前はオレに何かしてくれんのかぁ?」
誕生日を迎える相手に何かを要求してくる傲慢な恋人にベルフェゴールはすっかり毒気を抜かれる。
「ん~…じゃあさ、一緒にいてやるよ」
「それだけかぁ?」
「一緒にいて、温めてやるよ。なんたって一年で一番夜が長い日だし」
しししっ、といつものように笑いながら恋人を抱き寄せて首筋に舌を這わせると、すぐにくぐもった声が漏れた。腹のあたりを撫でまわす度にびくんと体が揺れて面白い。
暗殺なんて仕事をしていると、こんな風にまた一年を過ごしていくことがどれほど難しくて幸せな事なのか、節目になる日は考えずにはいられない。こうやってまた来年も一緒にいれたら。
「スクアーロ、やっぱお前じゃなきゃ温まんない」
「……っ」
そうやって少しだけ素直になれずに互いを求める。
心は十分に温まっていた。
fin.
***
2011年ベル誕生日おめでとう!
ベルは誕生日が近づくとジルの事思い出してイライラするんじゃないかなーっていう妄想。
待つだけなら談話室でなくてもよかったが、自室では眠りについてしまいそうだし、ベルフェゴールの部屋だと彼のいない寂しさに手慰みに色々始めてしまいそうでやめた。
それに今起きているのはヴァリアーのボスであるザンザスの留守中にその名代を任されているためでもある。ベルフェゴールの報告を受けるまでスクアーロの仕事は終わらないのだ。
普段はそんな大義名分などなくても恋人の帰りを朝まで待っているくせに、これは仕事なのだと自分に言い聞かせるスクアーロには思うところがあった。
既にベルフェゴールに同行した部下からは任務完了の報告とその帰還を確認している。つまり彼はわざと遅れて帰ってくるのだ。部下を先に帰らせてどこに寄り道しているかは見当がつく。だからこそ自制するために談話室にスクアーロはいるのだった。
任務完了予定時刻の一時間ほど前から飲み始めたワインは既に三本空き、四本目に突入している。つまみにしていた乾き物もとっくになくなっていた。
「…何、お前酔っぱらってんの?」
ドアの隙間からわずかに漏れた灯りを見つけてベルフェゴールは現れた。
「女臭ぇ」
背後から抱き締められたスクアーロは自分の予想が当たっていたことにうんざりした。触んなぁ、と首に絡まる腕から逃れようとするのを恋人は許さなかった。
「んぅ…っ」
顎をすくわれてそのまま後ろへ。頭を大きく反らす体制で受けるキスはこれまでに何度も味わったものと同じ。酔った体でもはっきりとわかるその感覚に、それを待ち望んでいた自分を認識させられてスクアーロは歯痒くなる。
「酔い醒めた?」
スクアーロの隣に移動し、わざとらしく服の中をまさぐりながらベルフェゴールはたずねた。るせぇ、とわずかに抵抗を含ませた声が返ってきたが気にせず行為を続ける。
「今日さぁ、寒かったじゃん?王子温まりたくて早く戻ろうとしたんだけど繁華街の女どもが煩くてさぁ…」
声かけてきた奴ら適当に抱いて殺ってきちゃった、と悪びれもせずに告白する。
無益な殺生はするなと何度言ってもきかない年下の生意気な王子様は雪の深い夜に任務に出ると必ずそんな遊びをする。自分の血を見た時のように無意識なのかもしれない。今に始まったことではないが、こんな事には慣れたくないとスクアーロは思う。いい加減にしろと言ったってきかない。病気なのだこれは。それでも割り切れるものではないけれど。
「任務の報告は?」
理性を振り絞って行為を中断させる言葉を放つ。ベルフェゴールの帰りを待っていた一番の理由はそれなのだと、きわめて事務的にスクアーロは報告書を要求した。
「他の奴らから報告受けてんだろ?だったらオレのは後でいーじゃん」
「明日の朝にはボス帰ってくんだよ、てめーからの報告書を渡せなきゃオレが殴られんだろーがぁ!」
いつものように怒鳴ってみても、本心なんてバレている。好きでもない銘柄のワインを空けていた理由も、さっきのキスで機嫌が良くなっている事も全て。
「外、雪降ってた。なぁスクアーロ、寒いんだよ。」
「るせぇ、いつも勝手な事ばかりしやがって」
一方的に吐き捨てると有無を言わさずベルフェゴールを押し倒す。
情熱的なキス。ベルフェゴールがスクアーロにしたような相手を宥めるための優しいキスではない。ただひたすら自分の欲望のため、相手を貪るためのもの。
オレがどんな気持ちで待ってたと思ってんだぁ、と顔に書いてある。そんな人間らしい感情を隠さない年上の恋人がベルフェゴールは愛おしくてたまらない。体の芯が熱くなるのがわかる。
「ししっ…やっぱさぁ、オレはお前じゃないとダメなんだよね」
「だったらもう寄り道なんかすんじゃねぇ」
体が冷たかったのはベルフェゴールだけではなかった。
ベッドで毛布に包まればそれなりに温かい。それをせず、わざと悪酔いするような真似をして恋人を待っていた彼もまた寒かった。
「…うん、そうする」
ベルフェゴールが冷えた恋人に熱を分け与えながら、このまま行為を続けようかそれともどちらかの部屋に移動しようかと考えをめぐらせていると、ふと時計が目についた。時刻はとっくに日付が変わっている。
「なぁ、オレに何か言う事ない?」
「……ねぇよ、クソ王子」
たっぷりの間が答えを知っていることを物語っている。それを素直に言わせなかったのは自分の行いのせいだと王子はわかっていたので、苦笑する。
「…かぼちゃ」
「はぁ?」
「ジャッポーネではさ、冬至の日にかぼちゃを食べるんだって。そうすると長生きできるらしいぜ?」
「だから何なんだぁ!?」
「一眠りしたらさぁ、オレのためにかぼちゃのニョッキ作ってよ」
「…ルッスに作ってもらえばいいだろぉ」
「お前がいーんだよ、お前が作ったやつ一緒に食べたい。」
なぁいいだろ?と銀の髪を指に絡めて口づける。
「てめーの誕生日が毎年冬至とは限らねーだろーがぁ。それに長生きする気なんざこれっぽっちもないだろぉ」
毒づく恋人に、「そうだけどさ」と答えながら背中に腕を回す。
「せめて来年までは生きたいじゃん。…そんでさ、毎年ニョッキ作ってよ。また次の年も生きられるように」
あたかも永遠に生きていられるような発言をしながら優しく頭を撫でると、スクアーロはゆっくりと目を閉じて何度も体験したことのあるこの先の快感を思い出す。
「…お前は」
「え?」
「毎年かぼちゃのニョッキ作ったらお前はオレに何かしてくれんのかぁ?」
誕生日を迎える相手に何かを要求してくる傲慢な恋人にベルフェゴールはすっかり毒気を抜かれる。
「ん~…じゃあさ、一緒にいてやるよ」
「それだけかぁ?」
「一緒にいて、温めてやるよ。なんたって一年で一番夜が長い日だし」
しししっ、といつものように笑いながら恋人を抱き寄せて首筋に舌を這わせると、すぐにくぐもった声が漏れた。腹のあたりを撫でまわす度にびくんと体が揺れて面白い。
暗殺なんて仕事をしていると、こんな風にまた一年を過ごしていくことがどれほど難しくて幸せな事なのか、節目になる日は考えずにはいられない。こうやってまた来年も一緒にいれたら。
「スクアーロ、やっぱお前じゃなきゃ温まんない」
「……っ」
そうやって少しだけ素直になれずに互いを求める。
心は十分に温まっていた。
fin.
***
2011年ベル誕生日おめでとう!
ベルは誕生日が近づくとジルの事思い出してイライラするんじゃないかなーっていう妄想。
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