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※Brilliant heart(波立)の続き。
コンコン、とドアを叩く音がした。気付かれるかどうかわからないような小さなノック。気付かれなければそれでもいいというのだろうか。
こんな事をする人物をリトアニアは一人しか知らない。インターホンもあるのだからそっちを押せばいいのに、と思いながらリトアニアは玄関へ向かった。
「お待たせしてすみません」
ドアを開けた先にはリトアニアの予想通りロシアが立っていた。ポーランドがリトアニアの家に泊まりにきていたが、幸いな事に今は風呂に入っているため、この突然の訪問者には気付いていないようだった。
「こんばんは、リトアニア」
夕食時間もとっくに過ぎて、これからベッドに入る人がいてもおかしくない時間の訪問。外は夕方から雪が降り始め、少し風も出てきてとても寒い。でもこの人にはそんな背景がとてもよく似合うな、とロシアを見上げてリトアニアは思った。
「こんばんは、ロシアさん…。どうなさったんです?こんな夜から…外は寒いので中へどうぞ。今熱い紅茶を淹れますね。」
「上がりたいのは山々なんだけど、今日は遠慮するよ。」
リトアニアがロシアに向けた優しい笑顔と同じように微笑み返してロシアは言った。
「え、どうしてですか?」
「今日は別に用事があって来たわけじゃないし、今夜たまたま君の家で飛行機を乗り継ぐからついでに寄ってみただけなんだ。」
「そうでしたか…」
「あ、そういえば今日君の誕生日なんだって?」
「はい、一応…」
「じゃあこれ、あげるよ。」
そう言ってロシアは持っていた紙袋をリトアニアに差し出した。
「…ありがとうございます。随分重いですけど、これ何ですか?」
「ん~秘密。今は見ちゃだめ。僕が帰ったら開けていいよ。」
「え…わ、わかりました。後で開けますね。わざわざありがとうございます。」
「ねぇ、リトアニア。」
こんな風に話しかけた後のロシアの頼み事がリトアニアにとって良い内容だったことは一度もない。
「はい」
頭の隅で警鐘が鳴るが、それが避けられないことだと解かっているのでリトアニアは返事をするしかなかった。
「ご褒美が欲しいな」
「え…」
「キスして。この寒い中頑張ってここまで来たんだからこれくらいいいでしょ?」
色々言いたいことが脳裏をよぎったが、プレゼントを受け取ってしまったリトアニアは拒む言葉が見つからず、その要求に応じるしかないという結論に達した。
「わかりました…」
どうして玄関先でこんな恥かしい要求をされなければならないのだろう、と思いながらリトアニアはロシアと口付けを交わした。
「んっ……」
ロシアが調子に乗って舌を入れてきたりするので、少なく見積もっても3分くらいはキスしていたんじゃないかとリトアニアは思った。
ポーランドがこの光景を見たら何と言われるのだろうか。それがなかっただけでも良かったのかもしれない。
「ふふ、ご馳走様。ここまで来た甲斐があったよ。じゃあ、もう僕時間だから行くね。その袋の中身、早く開けた方がいいよ。」
好き放題にリトアニアの唇を堪能しておいて、ロシアはあっさり帰ってしまった。
リトアニアはロシアの姿が見えなくなるまで見送った後リビングに戻り、ロシアから受け取った紙袋の中からワイン瓶でも入っていそうな長方形のプレゼントを取り出した。
緑に黄色のストライプの入った包装紙と金色のリボンでラッピングされたその誕生日プレゼントは、心なしかリトアニアにはさっきより軽いように感じられた。
一体何が入っているんだろう…。
不思議に思いながら丁寧にそのリボンや包装紙を外すと中から木箱が現れた。そしてリトアニアはその木箱の蓋をゆっくり開けた。
「うわあ……」
予想外なその中身に、リトアニアは思わず声を上げた。
中から出てきたのは木箱の形に凍らせた氷だった。既に溶け始めているその氷の中には、送り主であるロシアの好きなひまわりの花が入っていた。そのひまわりは氷づけにされているにも関わらず、生き生きと咲いているように見えた。
この氷ってもう溶け始めているし、完全に溶かしちゃった方がいいよね。
リトアニアはそう思い、木箱からそれを取り出すと、床にビニールやタオルを敷いて暖炉の側に置いた。
ポーランドが長すぎる風呂から上がる頃には氷は半分以上溶けていた。
「リト~、風呂上がったし…って何しとるん?っていうか何なんそれ?」
「これ?もらったんだよ。そのままでも綺麗だったんだけど、氷溶かしてちゃんと飾ろうかと思って。」
「ふぅん、まあ誰からもらったかはわからんでもないけど。」
そう言ってポーランドはリトアニアの隣に座り、氷が完全に溶けるまで一緒にひまわりの花を眺めることにした。暖炉の側で氷づけにされたひまわりを見つめるリトアニアの姿は、暖炉でぱちぱちと燃える炎に反射してゆらめいていて、一枚の絵画のようできれいだなとポーランドは思った。
手の込んだ贈り物が自分のいない間に届いた事と、それを優しく見つめるリトアニアがポーランドは気に入らなかった。自分が一番リトアニアの近くにいるにも関わらず、リトアニアの心をロシアに独占されている気がするからだ。
リトありえんし。オレがリトの一番に決まっとるし。何でロシアのやつこんなタイミングで来るん?マジ最悪やし。
それでも暖炉の熱で氷から解放されていくその花を美しいと感じていたので、ポーランドは何も言えなかった。
「ほら、氷溶けたよ。綺麗だね。」
まだ完全に渇いたわけではないその花を手にとってリトアニアはポーランドに見せた。
「……」
暖炉の火を背にひまわりの花を持つリトアニアはどこかの宗教画のようで、やっぱりきれいだなとポーランドは見とれた。
「ポーランド?…どうかした?」
一向に返事のないポーランドにリトアニアは訊ねた。
「あ、いや何でもないし。花…綺麗やね。」
「うん…オレもこんな季節に見れるなんて思ってなかったからびっくりした。」
そう言いながらリトアニアは顔をほころばせた。
今日はリトアニアの誕生日。祝う気持ちはロシアも自分も変わらないはずだ。今日くらいは自分のそういう独占欲を我慢してやってもいいかな、とポーランドは思った。
fin.
***
「リトアニアミレニアム」に投稿したもの。テーマは「独立記念日(リトアニア誕生日)」。
折角リトアニアミレニアムで誕生日なので、波立も露立も両方やりたかったんです…。
コンコン、とドアを叩く音がした。気付かれるかどうかわからないような小さなノック。気付かれなければそれでもいいというのだろうか。
こんな事をする人物をリトアニアは一人しか知らない。インターホンもあるのだからそっちを押せばいいのに、と思いながらリトアニアは玄関へ向かった。
「お待たせしてすみません」
ドアを開けた先にはリトアニアの予想通りロシアが立っていた。ポーランドがリトアニアの家に泊まりにきていたが、幸いな事に今は風呂に入っているため、この突然の訪問者には気付いていないようだった。
「こんばんは、リトアニア」
夕食時間もとっくに過ぎて、これからベッドに入る人がいてもおかしくない時間の訪問。外は夕方から雪が降り始め、少し風も出てきてとても寒い。でもこの人にはそんな背景がとてもよく似合うな、とロシアを見上げてリトアニアは思った。
「こんばんは、ロシアさん…。どうなさったんです?こんな夜から…外は寒いので中へどうぞ。今熱い紅茶を淹れますね。」
「上がりたいのは山々なんだけど、今日は遠慮するよ。」
リトアニアがロシアに向けた優しい笑顔と同じように微笑み返してロシアは言った。
「え、どうしてですか?」
「今日は別に用事があって来たわけじゃないし、今夜たまたま君の家で飛行機を乗り継ぐからついでに寄ってみただけなんだ。」
「そうでしたか…」
「あ、そういえば今日君の誕生日なんだって?」
「はい、一応…」
「じゃあこれ、あげるよ。」
そう言ってロシアは持っていた紙袋をリトアニアに差し出した。
「…ありがとうございます。随分重いですけど、これ何ですか?」
「ん~秘密。今は見ちゃだめ。僕が帰ったら開けていいよ。」
「え…わ、わかりました。後で開けますね。わざわざありがとうございます。」
「ねぇ、リトアニア。」
こんな風に話しかけた後のロシアの頼み事がリトアニアにとって良い内容だったことは一度もない。
「はい」
頭の隅で警鐘が鳴るが、それが避けられないことだと解かっているのでリトアニアは返事をするしかなかった。
「ご褒美が欲しいな」
「え…」
「キスして。この寒い中頑張ってここまで来たんだからこれくらいいいでしょ?」
色々言いたいことが脳裏をよぎったが、プレゼントを受け取ってしまったリトアニアは拒む言葉が見つからず、その要求に応じるしかないという結論に達した。
「わかりました…」
どうして玄関先でこんな恥かしい要求をされなければならないのだろう、と思いながらリトアニアはロシアと口付けを交わした。
「んっ……」
ロシアが調子に乗って舌を入れてきたりするので、少なく見積もっても3分くらいはキスしていたんじゃないかとリトアニアは思った。
ポーランドがこの光景を見たら何と言われるのだろうか。それがなかっただけでも良かったのかもしれない。
「ふふ、ご馳走様。ここまで来た甲斐があったよ。じゃあ、もう僕時間だから行くね。その袋の中身、早く開けた方がいいよ。」
好き放題にリトアニアの唇を堪能しておいて、ロシアはあっさり帰ってしまった。
リトアニアはロシアの姿が見えなくなるまで見送った後リビングに戻り、ロシアから受け取った紙袋の中からワイン瓶でも入っていそうな長方形のプレゼントを取り出した。
緑に黄色のストライプの入った包装紙と金色のリボンでラッピングされたその誕生日プレゼントは、心なしかリトアニアにはさっきより軽いように感じられた。
一体何が入っているんだろう…。
不思議に思いながら丁寧にそのリボンや包装紙を外すと中から木箱が現れた。そしてリトアニアはその木箱の蓋をゆっくり開けた。
「うわあ……」
予想外なその中身に、リトアニアは思わず声を上げた。
中から出てきたのは木箱の形に凍らせた氷だった。既に溶け始めているその氷の中には、送り主であるロシアの好きなひまわりの花が入っていた。そのひまわりは氷づけにされているにも関わらず、生き生きと咲いているように見えた。
この氷ってもう溶け始めているし、完全に溶かしちゃった方がいいよね。
リトアニアはそう思い、木箱からそれを取り出すと、床にビニールやタオルを敷いて暖炉の側に置いた。
ポーランドが長すぎる風呂から上がる頃には氷は半分以上溶けていた。
「リト~、風呂上がったし…って何しとるん?っていうか何なんそれ?」
「これ?もらったんだよ。そのままでも綺麗だったんだけど、氷溶かしてちゃんと飾ろうかと思って。」
「ふぅん、まあ誰からもらったかはわからんでもないけど。」
そう言ってポーランドはリトアニアの隣に座り、氷が完全に溶けるまで一緒にひまわりの花を眺めることにした。暖炉の側で氷づけにされたひまわりを見つめるリトアニアの姿は、暖炉でぱちぱちと燃える炎に反射してゆらめいていて、一枚の絵画のようできれいだなとポーランドは思った。
手の込んだ贈り物が自分のいない間に届いた事と、それを優しく見つめるリトアニアがポーランドは気に入らなかった。自分が一番リトアニアの近くにいるにも関わらず、リトアニアの心をロシアに独占されている気がするからだ。
リトありえんし。オレがリトの一番に決まっとるし。何でロシアのやつこんなタイミングで来るん?マジ最悪やし。
それでも暖炉の熱で氷から解放されていくその花を美しいと感じていたので、ポーランドは何も言えなかった。
「ほら、氷溶けたよ。綺麗だね。」
まだ完全に渇いたわけではないその花を手にとってリトアニアはポーランドに見せた。
「……」
暖炉の火を背にひまわりの花を持つリトアニアはどこかの宗教画のようで、やっぱりきれいだなとポーランドは見とれた。
「ポーランド?…どうかした?」
一向に返事のないポーランドにリトアニアは訊ねた。
「あ、いや何でもないし。花…綺麗やね。」
「うん…オレもこんな季節に見れるなんて思ってなかったからびっくりした。」
そう言いながらリトアニアは顔をほころばせた。
今日はリトアニアの誕生日。祝う気持ちはロシアも自分も変わらないはずだ。今日くらいは自分のそういう独占欲を我慢してやってもいいかな、とポーランドは思った。
fin.
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「リトアニアミレニアム」に投稿したもの。テーマは「独立記念日(リトアニア誕生日)」。
折角リトアニアミレニアムで誕生日なので、波立も露立も両方やりたかったんです…。
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